日本で一番感染者の多い肝炎
日本国内でのC型肝炎感染者数は非常に多く、およそ200万人以上いると言われています。肝硬変や肝臓がんの主な原因ともなっています。
C型肝炎のキャリアになると、慢性肝炎、肝硬変、肝臓がんへと進行することもある油断できない感染症の一つです。
今回は、C型肝炎の症状や治療法、感染経路について詳しくご紹介します。
C型肝炎の感染経路
C型肝炎は血液感染する感染症
C型肝炎は、感染者の血液を介して感染します。以前は、性行為での感染よりも輸血等の感染が多かったですが、近年、注射針の取り扱いなどが徹底された事で日本国内での性行為以外の感染はほとんどありません。
また、路上で心停止していた人に対して消防士が人工呼吸を行ったところ、息を吹き返した患者が吐血し、その血をあびた消防士がC型肝炎になったという事例もあります。
救急救命行為は非常に大切ですが、出来るだけ相手の血液に触れないように対応しましょう。
現在は、性行為による感染がメイン
上記のような注射針の使い回しなどの不衛生さによる感染者は減少しており、現在の主要な感染ルートはC型肝炎キャリアとの性行為による感染がほとんどです。
性行為によって血液感染する病気には、他にもHIVや梅毒、C型肝炎等が挙げられます。
これらは、膣性交・肛門性交などで出血が起こり、感染者の血液が自分の身体に侵入する事で感染の可能性があります。
風俗店や不特定多数の人との性接触時は、かならずコンドームを着用するように心がけましょう。
C型肝炎の症状
急性肝炎の症状
C型肝炎の潜伏期間は~3カ月程が多いです。潜伏期間を過ぎると急性肝炎の症状を発症する場合があります。
ただし、急性肝炎の発症はC型感染者の2割~3割程度で、症状の出ない感染者も多いです。また、他の肝炎のA型、B型肝炎に比べて症状が軽い事も特徴です。
主な症状
- 風邪のような症状
- 体の倦怠感
- 吐き気・嘔吐
- 黄疸
- 褐色尿
- 食欲不振
- 発熱(39度以下が多い)
症状が比較的軽く、風邪と似ている為病院に行っても風邪と診断されるケースも多いです。
A型、B型に比べて劇症化の確率が低く、急性肝炎によって死にいたるケースは少ないです。
慢性肝炎の症状
A型、B型肝炎は慢性化しませんが、C型肝炎は慢性化して、長く体内に残る事が特徴です。
感染した人の約7割が慢性化し、ウイルスを保有した状態=C型肝炎キャリアになると言われています。
慢性肝炎の症状が出てくるのは10年後~15年後といわれており、それまでは特に症状も無く普通に過ごせます。
ただし、ウイルスは常に血液中にいますので、血液を通じて第3者へ感染させてしまうリスクはあります。
肝硬変・肝臓がんへの進行リスク
C型肝炎感染→慢性肝炎→肝硬変→肝臓がん の順に移行していきます。この期間は10年~20年の長い時間を経て症状が進みます。
C型肝炎感染者の50%以上が、10年後以降に肝硬変へ移行すると言われています。
肝硬変の症状
- 黄疸
- 乳房の女性化(男性の場合)
- 腹水がたまる
- 手のひらが赤くなる
- 出血しやすくなる
- 意識障害
上記のような症状が出た場合はC型肝炎の進行はかなり進んでいると考えましょう。
最終的には肝臓がんへ
肝硬変になった場合、年に8%前後の非常に高い確率で肝臓がんになってしまう恐れがあります。
日本の肝臓がんで亡くなる人は年間3万人を超しますが、そのうちの80%はC型肝炎キャリアの方です。
性病としてのC型肝炎
C型肝炎はB型肝炎に比べて非常に感染力が弱く、性病としての危険性は低めです。
とはいえ、性風俗従事者や、同性間のカップルの間では未だにC型肝炎の感染が進んでいます。
特に同性間のカップルはアナルセックスによる出血しやすい性行為を行う事で感染率が高いようです。
アナルセックスはHIVや梅毒など他の血液感染する性病のリスクも、他の性行為に比べて格段に高いです。
C型肝炎の治療方法
急性肝炎
急性肝炎での治療は、特にありません。安静にして肝臓を休ませるぐらいです。
ただ、慢性化するようであればインターフェロンなどを使った治療を始めることがあります。
慢性肝炎
抗ウイルス療法と肝庇護療法があります。
抗ウイルス療法ではインターフェロンなどを使って、体内からのウイルス排除を目指します。
しかし、日本人はインターフェロンに耐性のあるC型肝炎ウイルスに感染している人が多く、治療しても完全にウイルスが消えた状態になるのは30%くらいといわれています。
それでも、現在では治療法もかなり進歩しているため、完治率の高い治療法を選択することも可能になっています。
肝庇護療法では肝臓の炎症を抑えて、C型肝炎の進行を遅らせるのが目標です。
まとめ
C型肝炎感染、自覚症状がほとんど出ないケースがほとんどです。
その為、性行為によってC型肝炎をうつされていても気付く事なくキャリアになってしまい、他の人へ感染させたり、慢性肝炎が進行して肝硬変・肝臓がんに発展する恐れもあります。
他の感染症の可能性もある
性行為でC型肝炎を感染する=相手の血液との接触で感染しています。
つまり、他の血液感染する性病であるHIVや梅毒にも感染していないとは言い切れないです。もちろん、クラミジアや淋菌等の粘膜接触で感染する性感染症も感染している恐れがあります。
血液感染する性病は自覚症状に乏しい病気が多い為、実際に性病検査を受けてみないと分かりません。
過去に不安な性行為をしてしまった人はこの機会に一度まとめて性病検査を受ける事をおすすめします。
>>A型肝炎の症状、感染経路、治療法について
>>B型肝炎の症状、感染経路、治療法について
また、その他の主要な性病の症状は下記の記事で見ることができます。
>>【性病の症状チェック!】その症状、もしかしたら性病かも?(男女別)