性病感染危険度
★★★★★★(コンドーム無し)
★★★☆☆ (コンドームあり)
アナルセックス(AF)、つまり肛門を使った肛門性交は、数ある性行為の中でも性病の感染リスクが断トツで高い行為です。
ここでは、コンドームを使用した場合と未使用の場合の性病感染についてそれぞれご説明していきます。
1:コンドーム無しのアナルセックスで感染する性病
コンドームをつけずにアナルセックスをした場合、さまざまな性病に感染するリスクがあります。
代表的な性病の1つが、HIVです。
性行為によるHIVの感染が全世界で広がり続けている背景としては、同性愛者のアナルセックスによる感染が非常に多い事が挙げられます。
厚生労働省エイズ動向委員会が発表した内容によると、2022年における日本国内のHIV感染者やAIDS患者の報告者数は、男女でそれぞれ下記のとおりでした。
日本人男性 | 日本人女性 | 外国人男性 | 外国人女性 | 合計 | |
HIV感染者数 | 515人 | 12人 | 94人 | 11人 | 632人 |
AIDS患者数 | 202人 | 6人 | 35人 | 9人 | 252人 |
(出典:NIID国立感染症研究所ホームページ「HIV/AIDS 2022年」)
上記のとおり、日本人・外国人ともに女性よりも男性の感染者数や患者数のほうが格段に多いことが分かっています。
また、HIV感染者の新規報告における感染経路別の割合を見ると、同性との性的接触(両性間での性的接触も含む)を原因とする日本人男性は全体の74.8%です。
20~40代が感染者の大多数を占めており、一方で女性の感染者は12人全員が異性との性的接触による感染でした。
これらの数字からも、男性による同性間での性行為(アナルセックス)がHIV感染拡大の一端を担っているといえます。
1992年までは外国で感染して帰ってくる例が多かったものの、最近では全体の8割以上が国内での感染です。
HIV感染者数の割合からも推測できるように、コンドーム未使用のアナルセックスには非常に高い性病感染リスクが付きまといます。
また、HIV以外の性病感染リスクもあります。
HIVを含む主な性病に感染するときの経路は【血液感染】【粘膜感染】【接触感染】の3パターンです。
ここでは、それぞれどのような性病に感染するリスクがあるのか解説します。
血液感染する性病
性病の血液感染とは、感染者の血液に含まれる細菌やウイルスが体内に入り、感染することです。
主に性交などで、傷や粘膜に感染者の血液が触れたことによって感染します。
血液感染のリスクがある性病は、下記のとおりです。
性行為のほかにも、感染者の血液や血液製剤を使用した治療、十分に消毒されていない器具の再利用による入れ墨やピアスの穴開けなども、感染経路となり得ます。
感染者が女性の場合、ごくまれに妊娠によって胎盤を介した母子感染を引き起こすリスクもあります。
ただし、現代の輸血用血液や血液製剤は高精度な検査によって安全性が確認されているため、感染者の血液が治療で他者に使用されることはありません。
粘膜感染する性病
広義では、性器や肛門のみならず、口腔内や気道、目、鼻の粘膜も細菌やウイルスの感染経路に含まれます。
ただし、性病の原因となる細菌やウイルスは、空気感染やくしゃみ・咳による飛沫感染は起こりません。
性病における粘膜感染は、性器や肛門、口の粘膜に感染者の血液や体液(膣分泌液・精液なども含む)が付着することで起こります。
粘膜感染のリスクがある性病は、下記のとおりです。
細菌やウイルスによって多少異なるものの、性行為以外の感染経路は、分娩時の産道を介した母子感染や、タオルや便座など肌に触れるものの共有などがあげられます。
ただし、性行為に比べると感染リスクは低いため、深刻になる必要はありません。
出産前に産婦人科医の指導で適切に治療したり、体液がつきやすいものは共有を避けたり、アルコール消毒や手洗いを適度にすることで、ほとんど防げます。
接触感染する性病
接触感染とは、細菌やウイルスに直接触れたり吸い込んだりして体内に取り込んだ結果、感染することです。
汚染された手指で性行為するほか、粘膜感染と同じく、感染者の血液や体液に触れても感染します。
接触感染のリスクがある性病は、下記のとおりです。
性行為以外の接触感染では、汚染された医療器具の使い回しや、胎盤・産道・母乳を介した母子感染などがあげられます。
また、昆虫のケジラミや原虫(微生物)のトリコモナスは、感染者と直接的な接触がなくとも、プールや入浴施設の利用、アイテムの共有で感染することが稀にあります。
上記の血液感染、粘膜感染、接触感染を同時に予防する方法として、コンドームの活用がおすすめです。
コンドーム無しのアナルセックスはHIVや梅毒、C型肝炎のリスクが高いだけではなく、挿入する側の尿道に大腸菌が侵入しやすい為に、雑菌性の尿道炎や予想外の疾患に発展するリスクも高いです。
2:コンドームありのアナルセックスで感染する性病
コンドームを利用したからと言って、全ての性病を完全に防げるわけではありません。
大半の【血液感染】と【粘膜感染】は防ぐことができますが、手指や口腔粘膜の接触により感染する性病の予防は困難です。
コンドームを使用していても性病に感染する理由は、主に「接触感染」と「コンドーム自体のトラブル」があげられます。
接触感染する性病
前述のとおり、接触感染は汚染された手指での性行為など、性器や精液以外が感染経路となる場合があります。
コンドームを使用するセックスにおいても、下記の接触感染リスクがある性病には注意しましょう。
一番の対策方法は、感染者の治療が終わるまでは、性行為やキス、スキンシップを避けることです。
共有物はなるべく避けるか、アルコール消毒や洗剤で洗浄した後に使用します。
ケジラミは、寝具のドライクリーニングもおすすめです。
プールや入浴施設でトリコモナスなどの感染を防ぐためには、共有物(洗面器、バスチェア、サウナマット)は洗い流してから使用することが大切です。
また、サウナマットなどは共有物を避け、自分用を持ち込んで使用することも予防につながります。
梅毒も、現代の医療で完治できます。(体内に残ると言われているTP抗体には、健康上の問題はないとされています)
コンドームが破れたら、無意味
性行為でちゃんとコンドームを使っていても【破れたり、外れたりしたら全くの無意味】です。
性病を予防する為に、正しくコンドームを着用することを心がけましょう。
また、「膣内で射精しなければ大丈夫」と勘違いしている方もいますが、性病予防と避妊、どちらの観点からも正しいとはいえません。
カウパー液にも細菌やウイルス、精子が含まれているため、射精する前になってコンドームを着用しても無意味です。
性病や妊娠を防ぐためにコンドームを使用するときは、カウパー液や膣分泌液が付着しないように、性器同士が接触する前に装着する必要があります。
なぜアナルセックスはHIV感染率が高い?
膣性交に比べて、アナルセックスはHIV感染率が高いと言われています。
その理由として、性器と肛門の構造の違いがあげられます。
そもそも肛門と直腸は性器として作られていないため、ペニスの挿入によりすぐ出血します。
細かい毛細血管レベルの出血は、ほぼ100%毎回のアナルセックスで起きており、膣性交に比べて血液感染の性病が感染しやすいと言われています。
男性の感染者数の増加率が高い
基本的には、HIVは挿入される側が感染しやすいと言われていますが、HIV感染の増加率は男性の方が高いです。
前述の2022年の調査のとおり、日本人男性は女性の42倍ほど多い感染者数でした。
これは、同性愛者同士がハッテン場などでコンドーム無しのアナルセックスをすることも原因の1つと考えられます。
同性愛者の性行為は妊娠の心配が無いため、コンドームの着用率が低く、HIV感染が拡大しやすい状態です。
近年は同性愛者・異性愛者ともにアプリなどでワンナイトの相手を見つけやすい環境にあり、不特定多数との関係を持ちやすいことも、HIV感染の拡大の要因となっています。
対女性に関しても、日本でもアナルセックスプレイが浸透してきて、風俗店のオプションサービスなどでも楽しむことができるようになりました。
アナルセックス≠セックス という認識で風営法に引っ掛からないため、本番行為の代替として広まりつつあります。
また、ニューハーフヘルスなどの台頭で、風俗店でのアナルセックスサービスがどんどん浸透しており、性病感染の可能性がアップしています。
正しいコンドームの利用方法
正しいコンドームの利用方法は、下記のとおりです。
- コンドームの袋を開ける時は、中身を端っこに寄せてから丁寧に開ける。
- コンドームの先端の空気をしっかり抜いて、根元までしっかり装着する。
- 性行為の最初から最後まで着用する。
- オーラルセックスで利用したコンドームをそのまま利用しない。
- 射精後はすぐに抜く。
- 再利用は厳禁
- 国産の品質の高いコンドームを利用する。
間違った使い方でありがちなのは、オーラルセックスで使ったコンドームをそのまま使って挿入してしまうことです。
これは、ゴムに歯が当たって傷がついている場合もあります。必ず、付け替えてから挿入しましょう。
また、装着にもたついてしまったコンドームも、爪により傷がついていて破れる可能性があります。
まとめ
- HIV感染を防ぐには、コンドーム着用が必須。
- コンドームを利用しても感染してしまう性病もある。
- コンドームが破れたら生アナルセックスと同じ。
完全な性病予防法としては、特定のパートナー以外との性行為をしないことが大切です。
風俗店へ行かれる方は、上記のリスクを十分に理解した上で予防に努めましょう。
性病の中には、感染しても自覚症状が少なかったり出にくかったりして、重症化するまで気付かないものもあります。
たとえばHIVなどは感染してもほぼ無症状のケースが多いです。
風俗でコンドーム無しのアナルセックスをしてしまった方や、不特定多数のパートナーとセックスをしたことがある方は、重症化リスクを低減するためにも、性病検査を受けてみることをおすすめします。
少しでも不安ならすぐに検査を
性病の不安は、一人で悩まずに勇気を持って検査を受けることが解決の第一歩です。
悩んでいても何も解決しませんし、そのまま放置すれば症状が悪化したり、あなたの大切な人や将来のパートナーに感染させてしまう恐れもあります。
検査を受けた結果、陰性であれば今後安心して過ごすことができますし、パートナーとのセックスライフを楽しめます。
陽性だった場合は、専門医のもとで早期治療に進めることができます。
いずれにせよ、性病の心配があるなら早期検査→早期治療が一番です。
特に、日本では風俗店・一般の若い人達を中心にクラミジアや咽頭クラミジア等、自覚症状の出にくい性感染症が拡大しています。
気付かないうちにうつされたり、誰かにうつしてしまっている可能性も十分にあります。
最近はクリニックや保健所に行かなくとも、通販で性病検査キットを購入して、郵送で検査申込できるサービスも登場しています。
クリニックや保健所は、予約が必要だったり料金が高かったりするうえ、出入りしているところを知り合いや家族に見られるリスクがあり、躊躇する方は多いのではないでしょうか。
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検査結果はオンラインで確認できるうえ、匿名管理されるので、家族や知り合いはもちろん、検査機関の人間にも誰が受けたのか知られずに済みます。
GME医学検査研究所の性病検査キットのように、陽性の場合はオンライン診療を受けられるクリニックを紹介してくれるところもあります。
風俗で遊んで性病が不安…という方は、まずはあてはまる症状がないか、下記の記事で主要な性病の症状をチェックしてみてください。
心当たりがあるようなら、性病検査がおすすめです。