HIVの治療はエイズ発症を抑えるために、生涯にわたって続ける必要があります。基本的には健康保険が適用されますが、実際にどれくらいの金額が毎月かかってくるのでしょうか?
今回はHIV感染時の治療にかかる費用について詳しくご紹介します。
HIV治療にかかる月々の費用(概算)
ずばり、保険適用前の純粋な医療費は毎月20万円程度かかります。保険適用後で月に6-7万円。内訳は下記の通り。
初診
約1~2万円
症状の確認、治療方法、医療費等のカウンセリング
2回目以降の診察
投薬前:約6~7千円
症状の確認、CD4の測定
投薬開始後:約6~7万円
症状の確認、CD4の測定、薬処方
治療開始からすぐ投薬ではない
性病検査の結果、HIV感染が発覚した場合、すぐに投薬が始まるわけではありません。CD4という数値を定期的に検査して測定して、基準値を下回った段階から投薬を開始します。
CD4数とは、白血球の中のリンパ球の中のCD4陽性Tリンパ球の数を表しており、一般的な健康な人は700-1300個/mm3程度です。HIVウイルスに感染するとこの値が下がってきます。
投薬治療を開始するのはCD4の値が約300個~350個/mm3(白血球T細胞)程度になってからです。投薬開始は個人差がありますがHIVに感染してから約3-4年後が多いです。
投薬が開始されると健康保険を使用しても約6-7万円の医療費が毎回必要になり、患者にとって大きな負担になります。しかし、この基準値を超えた時に投薬を開始しないと、エイズ発症を抑える事が難しくなるため、ほっておくわけにはいきません。
お金・・・ないんだけど
HIV感染者の医療費が高すぎてとても払えない・・・と不安になる方も多いと思います。月6-7万円と言ったら1人暮らしの家賃ぐらいの負担ですからね。
しかし、安心して下さい。日本には障害者自立支援医療という制度があります。
これを利用する事でHIVの治療費を1割負担にする事が出来ます。(約月に2万円)
しかも、年収に応じた負担上限額がありますので安心して治療が受けられるようになっています。
これは住民税の支払い金額に応じてランク分けされて、負担の上限が決定されます。
年収別のHIV治療にかかる費用の上限
生活保護世帯:0円
年収80万円以下:2,500円/月
市町村民税2万円未満:5,000円/月
市町村民税2~20万円未満:10,000円/月
市町村民税20万円以上:20,000円/月
つまり、どんなに医療費がかかっても20,000円/月が上限になります。収入の低い人はもっと安い為、基本的にはお金の心配をせずにきちんとしたHIV治療を継続して受ける事が出来ます。
HIV治療は会社にばれないの?
とはいえ、HIV治療が会社にばれてしまった場合、収入減や退職に追い込まれるリスクもあります。
今の法律ではそのような差別的扱いは禁止されていますが、実際には変な部署へ飛ばされたり、ポストを降ろされたり、自主退職に追い込まれるケースが見受けられます。
これはHIV感染関係なしに、日本の企業の嫌な体質ですね。 HIV治療によって、健康保険や障害者自立支援医療を受ける事により会社にHIV感染の事実がばれる事はあるのでしょうか?
身体障害者手帳
身体障害者手帳は年末の源泉徴収の時にばれる可能性があります。障害者控除をすれば100%ばれます。障害者控除で数万円節約した結果、会社にバレてしまっては大きなリスクとなりますね。
健康保険証
また、健康保険に関しては大丈夫です。健康保険を利用して病院で治療を受けると、健康保険組合へは病院から診察の内容や処方、病名などが伝わる事がありますが、健康保険組合も守秘義務があるため、自分の勤めている会社にバレる事はありません。
まとめ
現在の医療の発達のおかげで、HIVは昔のように【致死性の病】ではなく【慢性的な疾患】として付き合っていく事が出来るようになってきています。(とはいえ、最近は感染~発病までの期間が短くなっているという話もありますが)
万が一HIVに感染しても払えないような高額な治療費がかかるわけではないので安心して下さい。あとは、勤めている会社を続けるのか?やめるのか?等も考えた方がいいでしょう。
個人的プライバシーの為、無理に会社に言う必要はありませんが、ずっと黙って仕事を続けたり、HIVを隠しながら入院や通院で会社を休んだりするのもなかなか精神的ストレスになります。
どちらにしろ、HIVは感染しているかどうか検査しないと全くわかりません。HIV感染に気付かないままいきなりエイズ発症して亡くなってしまう【いきなりエイズ】も増えていると言われています。
この機会に、一度HIV検査を受けてみてはいかがでしょうか?今は保健所で無料で検査出来ますし、ネットで検査キットを購入すれば自宅で誰にもバレずに匿名で検査を受けることもできます。
HIVのような深刻な性病こそ、早期発見と早期治療が最重要です。
HIVについては、下記の記事で詳しく症状や感染経路、検査方法についてまとめていますので、是非ご参照ください。
>>【HIV情報の総まとめ!】HIV感染の症状・感染経路・検査方法について